――俺は、あの狐に元に行くのか。
それともあの男の下でまた抱かれるのか。
だがこの足は、あの男の元に向っている。
それでいて、この道はあの攘夷志士の道と同じであるという。
さて、こんなに可笑しなことがあるものか。
こんなに根拠なく不可解なことな発言に誰がそれを信じるというのだろう。
俺が行くのは、あの男・・・いや俺はこの夜が明ける前に我が隊に戻らなくてはいけないのだ。
なのにどうして、根拠もないくせにあの女狐はひょうひょうとそんなことを言ってのける。
まるで見てきたかのような口ぶりで。
俺の生きるこの“道”は、俺とあの男を繋ぐ道、ただ1本しかない。
土方が向かう足は迷わず慣れた道を選んだ。
目を黒くして闇に滑るその慣れた足を使っていつものように路地を抜ける。目前には屋敷があった。
勝手口を手で軽く押せば小さく開いた音が聞えた。
まだ足元を照らす火がなければ見失ってしまう視界では研ぎ澄ます耳だけが頼りになる。
その微かな音を頼りに僅かに開いた戸からは微力にもれる灯が見えた。
門番はおらず、土方はそのまま中へとするり音もなく入り込む。
光を失って外はまた暗闇に包まれた。
自分の行動がわからない・・・わけでもなかった。
ただ此処に来てしまった。という事実だけが土方にもわからなかった。
暗い路地を慣れた足取りで覚えた道だというのに。
気付いたときには此処へたどり着いていた。
この狐の元へと。
砂の混じる音を聞きつけてか障子がすっと開くと、中から白い手が呼ぶ。
「・・てめェが出て来い。俺は忙しい」
乏しい灯で浮かび上がる影は長い髪を垂らした女狐に見えた。
「まあそういうな。寒いだろう。此処に来い」
そういってまた白い手をみせる。
「俺は遊びに来たわけじゃねェ。お前が顔を見せろ」
「・・・・なんだてっきりお忍びかと思っていたんだが。なら用はない。気が変わらぬ内に立ち去れ」
「あ?呼び出したのはてめェの方だろ?客を手前で帰すとはどういうつもりだ。叩き斬るぞ」
「なんだ貴様。職務乱用ではないか。おまわりさんがいたいけな一般市民に危害を与えるなら俺も黙ってないぞ」
「フン、てめェが吠えたところで痛くも痒くもないがな、いいからさっさと」
「その言葉バットで打ち返してやってもいいがな。俺はお前とあの男とが裏で××しているというスクープをマスゴミに」
「洩らす・・・ってか?じゃあ、俺はお前のその口を奪った張本人として」
「な、バカか!貴様。そんなことしたら某大型掲示板が炎上するぞ!!ゲス谷ならぬゲス鬼だ!」
「誰がゲス鬼だ。・・・例えばこうか?『鬼の副長・土方十四郎、づらかりんと接吻デート!』」
「づらかりん、ではない!桂だ!」
「・・・・認めてンじゃねーか」
土方は硬い靴をコツ、コツと秒刻みに鳴らす。
桂は静かにその気配を感じた。
・・この男は最初から喰えない男であると重々承知はしている。だからこそ、俺は、・・・・。
いや、そこは敢えて今はまだ口にしてはいけない。奥にある感情は、暗いまだ陽の当たらぬ場所に置いておくほうがいい。この心が(躯が)間違っていると知っている。
それでも素直になってしまうとか、逃げられずに縄で縛られて捕らわれてしまってもいい、・・だなんて、一瞬のうちに堕ちて行く心地良さを羨むものはまだ、表に出るべきでは、ないのだ・・・。
そう、この土方という男は信用ならぬ者。そうでなくとも“敵”なのだ。己にとっては、理解せぬ者。
銀時のような男であれば曲がりくねろうが意外と素直さはある。どんな節があろうとも毒はない。
けれどこの男には奴と同じ性格を持つくせに、どこか掘り下げようのない、何かがあるのだ。
桂にでもそれがなんなのかわからない。
育ってきた環境の違いだろうか、それともこの男の本質的なものだろうか。
環境といってもあの高杉にわかって同じ道を共にしてきた俺がわからないことがあるのだろうか。。
桂はそれについて思う時いつでも黙考した。
「いいから、こっちへ来い」
「御託はいい。」・・・・男は云う。
あの目は逃げる俺を追うときと同じ、か。
獣のようにぎらぎらさせて獲物を必ず捕らえる目は、まさに表の顔で見る目と同じである。
けれどそうだと知りながら、少しだけ危ない橋を渡ってやってもいいだなんて思えてしまう、このとても厄介でとても悪い癖だ。
ただ、「来い」とだけ言われて「はい」と素直に答えてやるだけの従順さは覚えがない。
けれどあの闇の深い宵の中なら、その身を隠す暗さなら、顔だけを隠した月であるのなら、
その胸を聞いてやってもいい・・・。
*この頃ちょうど某バンドのボーカルと未成年の♀タレントさんとの騒動が話題になっていたので
ネタにブッ込んでいるというわかる人にはわかる時代ネタが織り込まれています(笑)
それともあの男の下でまた抱かれるのか。
だがこの足は、あの男の元に向っている。
それでいて、この道はあの攘夷志士の道と同じであるという。
さて、こんなに可笑しなことがあるものか。
こんなに根拠なく不可解なことな発言に誰がそれを信じるというのだろう。
俺が行くのは、あの男・・・いや俺はこの夜が明ける前に我が隊に戻らなくてはいけないのだ。
なのにどうして、根拠もないくせにあの女狐はひょうひょうとそんなことを言ってのける。
まるで見てきたかのような口ぶりで。
俺の生きるこの“道”は、俺とあの男を繋ぐ道、ただ1本しかない。
土方が向かう足は迷わず慣れた道を選んだ。
目を黒くして闇に滑るその慣れた足を使っていつものように路地を抜ける。目前には屋敷があった。
勝手口を手で軽く押せば小さく開いた音が聞えた。
まだ足元を照らす火がなければ見失ってしまう視界では研ぎ澄ます耳だけが頼りになる。
その微かな音を頼りに僅かに開いた戸からは微力にもれる灯が見えた。
門番はおらず、土方はそのまま中へとするり音もなく入り込む。
光を失って外はまた暗闇に包まれた。
自分の行動がわからない・・・わけでもなかった。
ただ此処に来てしまった。という事実だけが土方にもわからなかった。
暗い路地を慣れた足取りで覚えた道だというのに。
気付いたときには此処へたどり着いていた。
この狐の元へと。
砂の混じる音を聞きつけてか障子がすっと開くと、中から白い手が呼ぶ。
「・・てめェが出て来い。俺は忙しい」
乏しい灯で浮かび上がる影は長い髪を垂らした女狐に見えた。
「まあそういうな。寒いだろう。此処に来い」
そういってまた白い手をみせる。
「俺は遊びに来たわけじゃねェ。お前が顔を見せろ」
「・・・・なんだてっきりお忍びかと思っていたんだが。なら用はない。気が変わらぬ内に立ち去れ」
「あ?呼び出したのはてめェの方だろ?客を手前で帰すとはどういうつもりだ。叩き斬るぞ」
「なんだ貴様。職務乱用ではないか。おまわりさんがいたいけな一般市民に危害を与えるなら俺も黙ってないぞ」
「フン、てめェが吠えたところで痛くも痒くもないがな、いいからさっさと」
「その言葉バットで打ち返してやってもいいがな。俺はお前とあの男とが裏で××しているというスクープをマスゴミに」
「洩らす・・・ってか?じゃあ、俺はお前のその口を奪った張本人として」
「な、バカか!貴様。そんなことしたら某大型掲示板が炎上するぞ!!ゲス谷ならぬゲス鬼だ!」
「誰がゲス鬼だ。・・・例えばこうか?『鬼の副長・土方十四郎、づらかりんと接吻デート!』」
「づらかりん、ではない!桂だ!」
「・・・・認めてンじゃねーか」
土方は硬い靴をコツ、コツと秒刻みに鳴らす。
桂は静かにその気配を感じた。
・・この男は最初から喰えない男であると重々承知はしている。だからこそ、俺は、・・・・。
いや、そこは敢えて今はまだ口にしてはいけない。奥にある感情は、暗いまだ陽の当たらぬ場所に置いておくほうがいい。この心が(躯が)間違っていると知っている。
それでも素直になってしまうとか、逃げられずに縄で縛られて捕らわれてしまってもいい、・・だなんて、一瞬のうちに堕ちて行く心地良さを羨むものはまだ、表に出るべきでは、ないのだ・・・。
そう、この土方という男は信用ならぬ者。そうでなくとも“敵”なのだ。己にとっては、理解せぬ者。
銀時のような男であれば曲がりくねろうが意外と素直さはある。どんな節があろうとも毒はない。
けれどこの男には奴と同じ性格を持つくせに、どこか掘り下げようのない、何かがあるのだ。
桂にでもそれがなんなのかわからない。
育ってきた環境の違いだろうか、それともこの男の本質的なものだろうか。
環境といってもあの高杉にわかって同じ道を共にしてきた俺がわからないことがあるのだろうか。。
桂はそれについて思う時いつでも黙考した。
「いいから、こっちへ来い」
「御託はいい。」・・・・男は云う。
あの目は逃げる俺を追うときと同じ、か。
獣のようにぎらぎらさせて獲物を必ず捕らえる目は、まさに表の顔で見る目と同じである。
けれどそうだと知りながら、少しだけ危ない橋を渡ってやってもいいだなんて思えてしまう、このとても厄介でとても悪い癖だ。
ただ、「来い」とだけ言われて「はい」と素直に答えてやるだけの従順さは覚えがない。
けれどあの闇の深い宵の中なら、その身を隠す暗さなら、顔だけを隠した月であるのなら、
その胸を聞いてやってもいい・・・。
*この頃ちょうど某バンドのボーカルと未成年の♀タレントさんとの騒動が話題になっていたので
ネタにブッ込んでいるというわかる人にはわかる時代ネタが織り込まれています(笑)
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